物流業界への就職・転職を考えている女性の中には、以下のような疑問やお悩みを抱えた方も多いと思います。
「物流業界は男性社会のイメージが強く、女性が活躍できるのか不安」
「そもそも物流業界ってどんな仕事があるんだろう」
そう思うのも無理はなく、過去の物流業界は男性社会であり、現在もその傾向は強いです。しかし、近年は働き方改革やIT技術のめざましい進展により、女性が活躍できるフィールドが広がっています。そのため、今後の物流業界において女性の活躍が不可欠となるのは確実です。
そこで本記事では、物流業界を18年経験し現場のリアルを知る筆者が、物流業界で女性が活躍できる職種や、企業選びのポイントを徹底解説します。
この記事でわかること
- なぜ今、物流業界で女性が活躍できるのか?
- 物流業界で女性が活躍できる仕事の種類
- 女性が活躍できる物流業者の選び方
物流業界で新たなキャリアを築きたい女性にとって、きっと役立つ情報が見つかるはずです。
なぜ今、物流業界で女性が活躍できるのか?
ここでは、女性が重要となる要因について、以下の2つのポイントを徹底解説します。
- 物流業界を取り巻く3つの環境の変化
- 物流業界にマッチする女性ならではの強み
理由①:物流業界を取り巻く3つの環境の変化
かつての物流業界は「3K(きつい、汚い、危険)」のイメージが強く、男性中心の職場と認識されていました。事実として、総務省統計局がまとめた「労働力調査」によると、2022年産業別就労者数においての運輸・郵便業の女性の割合は約21.9%となっており全産業の約45%を大きく下回っています。

しかし、近年は、テクノロジーの進化や社会の変化により、その姿は大きく変わりつつあります。具体的な要因は以下の3つです。
- 「働き方改革の推進」により働きやすい職場に変化
- 「テクノロジーの急速な進化」で作業の負担減
- 「ダイバーシティの重視」で差別のない社会へ
それぞれ詳しく解説します。
「働き方改革の推進」により働きやすい職場に変化
労働環境の改善や生産性の向上を目指す「働き方改革」により、さまざまな業種で残業削減やフレックスタイム制など柔軟な勤務体系が広がっています。
物流業界における「働き方改革」の影響
2024年4月からトラックドライバーの時間外労働上限規制が適用される「2024年問題」への対応が急務です。この問題に対応するため、法律が施行された現在でも各物流企業は業務効率化や人員配置の見直しを進めています。
(参照元:厚生労働省「働き方改革の実現に向けて」)
その結果、女性が働きやすい環境整備が加速しています。具体的には、トラックドライバーの業務改善はもちろんのこと、業界全体でリモートワークや時短勤務、フレックスタイム制度といった柔軟な勤務体系が導入されています。それらは、育児や介護と仕事を両立したい女性にとって大きなメリットとなり、家庭とのバランスを取りながらキャリアを築くことが可能です。
「テクノロジーの急速な進化」で作業の負担減
急速に進化するAIやIoT、ロボット技術の導入も女性が働きやすくなる要因の一つである言えます。
物流業界におけるIoT(Internet of Things)とは
IoTとは、物理的なデバイスや車両、家電製品などがインターネットに接続され、データを収集・交換する技術を指します。倉庫業務では温度管理や在庫管理、運送業務においては配車管理等に活用されています。
特にピッキング作業などでは、ロボットが深くかかわることで作業の負担が大幅に軽減されます。例えば、通販最大手Amazonの物流倉庫では、ロボットが商品が保管されている棚を持ち上げて作業者の元まで運ぶことで、作業者が倉庫内を歩き回る必要をなくしました。それにより、作業者の体力的な負担が軽減し、作業効率の大幅な向上に成功しています。また、運送業においても、配送トラックの乗り心地が良くなったことで、女性でもトラックドライバーとして働きやすくなりました。
「ダイバーシティの重視」で差別のない社会へ
「ダイバーシティ」とは、多様性を意味する言葉です。ビジネスや社会において、年齢、性別、国籍、人種、宗教、障がいの有無、性的指向、価値観、働き方など、さまざまな違いを受け入れ、尊重し、活かしていく考え方です。物流業界においても、多様な人材を受け入れる企業が増えています。例えば三井倉庫グループでは「ダイバーシティ&インクルージョン方針」として、多様な人材が活躍できる環境や仕組みを整備すると宣言しています。特に大手企業においては、女性の活躍を積極的に支援する制度や研修プログラムが導入され、女性が能力を最大限に発揮できる環境が整ってきています。
理由②:物流業界にマッチする女性ならではの強み
物流業界において、女性ならではの強みが活かせる場面は多々あります。具体的には以下の3つの点が挙げられます。
- コミュニケーション能力
- 几帳面さ、丁寧さ
- 男性とは異なる新たな視点
コミュニケーション能力
細やかな気配りや共感力を活かし、チーム内のコミュニケーションを円滑に進め、協力体制を築く上で重要な役割を果たします。顧客との関係構築においても、丁寧で親身な対応が信頼を生み、ビジネスの成功に繋がります。
几帳面さ、丁寧さ
物流業務は、正確性が非常に重要です。丁寧な作業や正確なデータ管理は、商品の紛失や誤配送を防ぎ、業務効率を向上させます。女性の几帳面さは、この点で大きな強みとなります。
男性とは異なる新たな視点
女性は、男性とは異なる視点や発想で、業務改善や問題解決に貢献できます。女性ならではの視点が、従来のやり方にとらわれない新しいアイデアを生み出し、業務効率化やコスト削減に繋がる可能性があります。
物流業界で女性が活躍できる仕事の種類3つ
ひとくちに物流業界といってもさまざまな職種があり、女性が活躍できるフィールドは多岐にわたります。以下の3つに分けて解説します。
- 事務・管理系
- 現場系
- IT・システム系
事務・管理系
事務職・管理職の主な業種は以下の通りです。
- 物流事務
- 経理
- 人事
- 営業
- 貿易事務
物流事務
受発注、請求書発行、データ入力、顧客対応など、オフィスワークが中心です。PCスキル、事務処理能力、コミュニケーション能力が活かせます。リモートワークにも対応しやすいのが魅力。細やかな気配りで顧客との信頼関係を築き、事務処理の正確さでチームを支えます。
経理
伝票処理、会計処理、財務諸表作成など、正確性と緻密さが求められる業務です。簿記や会計の知識が活かせます。几帳面さや丁寧さを活かし、会社の財政を支える重要な役割を担います。
人事
採用、人材育成、研修企画など、社員の成長をサポートします。コミュニケーション能力や共感力が活かせ、働きやすい環境づくりに貢献できる点にやりがいを感じる人も多いでしょう。採用活動での共感力や社員のメンタルケアなど、女性は細やかな配慮ができる点が強みです。
営業
物流サービスの提案や顧客との関係構築、課題解決など、ヒアリング能力や提案力が重要です。親身な対応で顧客との信頼関係を築き、課題解決を通じて会社の成長に貢献します。
貿易事務
貿易関係の企業の事務作業者として、輸出入の手配、通関手続き、貿易書類作成など、グローバルな視点で活躍。英語力や貿易知識、事務処理能力が活かせ、正確な事務処理でスムーズな国際物流を支えます。
現場系
特に男性社会の傾向が強い現場の仕事ですが、以下のような業種では女性が活躍する場が増えてきています。
- 倉庫管理
- 配送
- 梱包・ピッキング
倉庫管理
入庫・出庫、在庫管理、品質管理、倉庫内作業員管理など、現場を支える重要な業務です。整理整頓能力やチームワークが活かせます。女性ならではの整理整頓能力で、倉庫の効率と安全性を向上させ、物流の円滑な流れを支えます。
配送
トラックでの荷物配送、ルート配送など、運転スキルや地理知識が重要です。丁寧な運転で顧客との信頼関係を築き、安全かつ確実な配送業務を遂行します。近年では、女性ドライバーも増加傾向です。
梱包・ピッキング
商品の梱包や棚からのピッキングなど、手先の器用さやある程度の体力が重要です。実際に物流倉庫において、女性パート作業者が多く活躍しています。丁寧な梱包や正確なピッキングは、物流品質の向上に貢献します。
IT・システム系
近年急成長している以下のようなテクノロジーを駆使した業種は、男女問わずキャリア構築が可能です。
- システムエンジニア
- AI・ロボット技術者
システムエンジニア
物流システムの開発・運用、ITインフラ構築など、ITスキルや論理的思考力が重要です。物流の効率化に貢献し、最新技術を駆使して業務のデジタル化を推進します。他にもデータから課題を見つけ、改善策を提案することで、より効果的な物流戦略を立てることに貢献するなど、業務内容は多岐にわたります。
AI・ロボット技術者
物流現場で活用するAIやロボットの開発・導入・運用など、専門知識や技術力、創造力が重要です。新しい技術を積極的に取り入れ、柔軟な発想で物流現場の課題を解決します。近年の物流業界において特に勢いのある職種です。
女性でも働きやすい物流企業の選び方2選
女性が物流業界で企業を選ぶ際、以下の2つを軸にチェックすることが重要です。
- 女性が働きやすい職場環境かチェックする
- 公的認証マークを参考にする
それぞれ詳しく解説します。
女性が働きやすい職場環境かチェックする
まずは、女性が働きやすい職場環境であるかを確認することが重要です。具体的なチェックポイントとして、以下の3つが挙げられます。
- 自動化、機械化の状況
- 福利厚生、各種制度の充実度
- 女性社員の割合・活躍状況
自動化、機械化の状況
ピッキングなどの倉庫での軽作業において、自動化・機械化が進んでいれば体力に自信がない女性でも働きやすい環境です。広い倉庫内を歩き回ったり、高い場所にある物を取ったりといった作業を一日中続けるのは、重い荷物を持たなくてもそれなりに体力が必要になります。
しかし、機械化、自動化が進んでいる現場で、荷物を作業者の近くまで運んできてくれるロボットなどが導入されていれば、身体への負担が大幅に軽減されます。企業のホームページや求人情報などを参考に現場の様子を確かめてみましょう。
福利厚生、各種制度の充実度
女性が働きやすい福利厚生や各種制度が充実している企業かどうかは、非常に重要なチェックポイントです。具体的に、以下の制度が充実している企業は、女性が安心して長く働けます。
- 育児休業の取得率が高い
- 託児所や提携保育園の設置
- 時短勤務制度ハラスメント対策室の設置
特に、若い世代の方であれば、出産という女性ならではのライフイベントに理解があるかどうかは非常に重要です。上記のような制度が充実している企業は、男性中心ではない、もしくは体質を変えようとしていると考えられます。
女性社員の割合・活躍状況
気になる企業の女性社員の割合や活躍状況を知ることは、女性が働きやすいかどうかの物差しとなります。具体的には、以下のようなポイントをチェックしましょう。
チェックポイント | 全産業の平均 | 運輸・郵便業の平均 |
---|---|---|
女性従業員の割合 | 約27.2% | 約11.9% |
女性管理職の割合 | 約11.6% | 約6.0% |
業界平均を上回る企業は、女性が働きやすい職場環境や制度が整っている傾向です。また、女性管理職が多い企業は、女性でもキャリア形成を目指せる企業と考えられます。企業の公式サイトや口コミサイトを確認してみましょう。
公的認証マークを参考にする
日本の企業の認定マーク「えるぼし」と「くるみん」は、いずれも厚生労働省が推進する制度です。認定を受けた企業は、女性を積極的に採用するため環境を整えていると考えられます。
それぞれの特徴は以下のとおりです。
「えるぼし(女性活躍推進企業認定)」(厚生労働省)
根拠法 | 女性活躍推進法(2016年施行) |
---|---|
目的 | 女性が能力を発揮できる職場環境の整備を評価し、企業の取り組みを可視化する |
認定基準 | 女性の採用・登用比率継続勤務年数(育休後の復帰率など)労働時間の適正化女性活躍推進のための行動計画策定 |
評価 | 達成度に応じて「☆1~☆3」の3段階で評価 |
「くるみん(子育て支援優良企業認定)」(厚生労働省)
根拠法 | 次世代育成支援対策推進法(2005年制定) |
---|---|
目的 | 従業員の仕事と育児の両立を支援する企業を認定 |
認定基準 | 育休取得率・復帰率短時間勤務制度の導入保育施設の設置支援男性の育児参加促進 |
評価 | 特に優れた企業は「プラチナくるみん」に認定 |
待遇などと合わせてチェックしておきましょう。
物流業界で活かせる6つのスキルと3つの資格
専門性の高いイメージがある物流業界ですが、得意なことやこれまで培ったスキルを活かせるシーンは多々あります。以下の2つに分けて具体的に見ていきましょう。
- 活かせるスキル・経験
- 役に立つ資格
活かせるスキル・経験
物流業界で働く上で、あると有利なのは以下のスキルや経験です。
- コミュニケーション能力
- 細やかな注意力・正確性
- IT・デジタルスキル
- 柔軟な対応力
- 企画・改善提案
- 体力
コミュニケーション能力
物流業界では、円滑なコミュニケーション能力が非常に重要です。なぜなら、顧客やチーム、協力会社など多くの関係者と連携して業務を進める必要があるからです。例えば、顧客の要望を丁寧に聞き取ることで最適なサービスを提供したり、チーム内で作業内容や進捗状況を正確に共有することで、円滑なチームワークを築くことができます。相手の話をよく聞き、自分の考えを分かりやすく伝えるコミュニケーション能力は大きな武器となります。
細やかな注意力・正確性
物流業務において、細やかな注意力と正確性は欠かせないスキルと言えます。なぜなら、物流の現場では、商品の数量や状態、書類の内容などを正確に把握する必要があるからです。例えば、商品の検品で数量や状態を正確に確認したり、書類作成で誤字脱字を防ぐなどが挙げられます。一つ一つの作業を丁寧に行うことでミスを防ぎ、業務の効率化や顧客満足度向上に繋がります。常に細やかな注意を払い、正確な作業を行うことが重要です。
IT・デジタルスキル
現代の物流業界では、IT・デジタルスキルは重宝されるスキルです。なぜなら、業務効率化やコスト削減のために、システムの活用が進んでいるからです。例えば、Excelを使ってデータを集計・分析したり、倉庫管理システム(WMS)を操作しての在庫管理などが挙げられます。基本的なPCスキルはもちろん、データ分析スキルなどがあると非常に有利です。
柔軟な対応力
物流業界では、予期せぬ事態にも柔軟に対応できる能力も求められます。なぜなら、天候不良や交通渋滞、トラブル発生など、イレギュラーな事態が起こりやすいからです。具体的には、配送遅延が発生した際に代替ルートを検討したり、急なトラブル発生時に迅速に原因を特定し対応するなどです。どんな状況でも冷静かつ柔軟に対応できる人材は重宝されます。
企画・改善提案
物流業界では、業務の改善や効率化に向けた企画・提案力がある人材は重宝されます。なぜなら、常に変化する状況に対応し、より良い物流システムを構築していく必要があるからです。例えば、作業効率を向上させるためのアイデアを提案したり、コスト削減のための新たな方法を考案するなどが挙げられます。既存のやり方にとらわれず、より良い方法を常に追求することが重要です。過去にそういった点を評価されたことがある人は、積極的にアピールすることをおすすめします。
体力
特に現場仕事では、ある程度の体力も必要となります。なぜなら、職種によっては長時間労働や重い荷物を運ぶ作業が発生するからです。例えば、トラックドライバーとして長時間の運転をしたり、倉庫作業で重い荷物を運ぶなどの業務が挙げられます。とはいえ、すべての職種で体力が必須なわけではないため、体力に自信がない方でも活躍できる場は多くあります。
役に立つ資格
物流業界で働く上で役に立つ資格として、以下の3つをご紹介します。
- フォークリフト運転技能講習修了証
- TOEIC
- MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
フォークリフト運転技能講習修了証
フォークリフト運転技能講習修了証は、物流業界の現場仕事で非常に役に立つ資格です。倉庫作業においてフォークリフトが活躍するシーンは多々あります。倉庫内作業員やピッキングスタッフの求人では、この資格を持っていると即戦力として採用されやすくなります。実際に近年は、丁寧な作業ができる女性のフォークリフトオペレーターを増やしている企業もあるほどです。
TOEIC
グローバルな物流企業への就職を目指すなら、TOEICのスコアは強力なアピールポイントになります。海外との取引が多い物流業界では、英語でのコミュニケーション能力が求められる場面が多いからです。例えば、貿易事務や国際物流担当の求人では、TOEICのスコアを求める企業が多く、高いスコアを持っていれば選考で有利に働きます。英語力をアピールしたい方は、TOEICのスコアアップを目指しましょう。
MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
物流業界の事務職でMOSの資格は活用できます。事務職では、ExcelやWordなどのオフィスソフトを日常的に使用するからです。物流事務、経理、人事などの職種であれば、MOSの資格はPCスキルを証明するものとして、アピールできます。
まとめ|近年の物流業界の仕事は女性が活躍できる!
この記事では、物流業界で働く女性の現状、活躍できる仕事の種類、未経験から働くために必要なスキル、そしてキャリアアップに役立つ資格について解説しました。これからの物流業界において、女性が活躍できる理由は以下の3つです。
- 働き方改革の推進
- テクノロジーの急速な進化
- ダイバーシティの重視
また、実際に企業を選ぶ際は以下の2つをしっかりチェックしておきましょう。
- 女性が働きやすい職場環境か
- 公的認証マークを参考にする
さらに、あなたに以下のようなスキルがあったり、資格を保有しているなら積極的にアピールすることをおすすめします。
項目 | 概要 |
---|---|
スキル | ・コミュニケーション能力 ・細やかな注意力、正確性 ・IT・デジタルスキル ・柔軟な対応力 ・企画、改善提案 ・体力 |
資格 | ・フォークリフト運転技能講習修了証 ・TOEIC ・MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト) |
これまで男性社会というイメージが強かった物流業界ですが、テクノロジーの進化や働き方改革により、女性が活躍できるフィールドはますます広がっています。事務、現場、ITとさまざまな職種があり、あなたの個性や強みを活かせる場所がきっと見つかるはずです。この記事を通して、物流業界で働くことへの不安が少しでも解消され、新たなキャリアを築くための第一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
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